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スマートフォンAQUOSの撮影のコツを紹介

特集記事

2024.12

AQUOS R9 pro カメラレビュー

  • 2024年12月発売のスマートフォンAQUOSフラッグシップモデル「AQUOS R9 pro」。

    スマートフォンでありながら本格的な撮影体験を提供するAQUOS R9 proは、スマートフォン撮影の可能性をさらに広げ、日常の瞬間から特別なシーンまで、誰でも簡単に本格的な写真表現を楽しめるカメラに仕上がっています。写真撮影にこだわりを持つデジカメユーザーにとっても、最高のパートナーとなるポテンシャルを持っています。

    AQUOS R5G以来となる広角カメラと望遠カメラを備えたトリプルレンズのメインカメラは、ライカカメラ社監修のVARIO-SUMMICRON(バリオ・ズミクロン)カメラシステムを搭載しています。

    標準カメラは、AQUOS R8 proの大型1インチセンサーをさらに超える1/0.98インチセンサーを採用し、光学式手ブレ補正にも対応しています。

    また、カメラ専用のシャッターキーを搭載しているほか、62mm径のデジタルカメラ用フィルターを使用できるカメラフィルター対応アタッチメント(別売)や、シャープ純正のショルダーストラップケース(別売)といったアクセサリーにより、デジカメのような撮影体験を可能にしています。

    今回は、広角、標準(メイン)、望遠の各カメラで実際に撮影された作例を交えながら、AQUOS R9 proのカメラ性能をレビューしていきます。

  • 今回の内容
    1. 目の前の景色を広々と写し出すワイド撮影から被写体に思い切り近づけるマクロ撮影まで対応する広角カメラ
    2. 1インチを超える1/0.98インチ大型センサーと新設計のF1.8の明るいレンズで画質に磨きをかけた標準カメラ
    3. 歪みを抑え、見た目に近い形状で撮れるレンズ特性撮影領域を確実に広げてくれる望遠カメラ
    4. AQUOS R9 proで撮影体験をさらに拡張するデジカメ用レンズフィルター対応アタッチメント
      ・フィルター撮影と相性抜群の「マニュアル写真」モード
      ・RAWデータ撮影は、JPEGとRAWの2種類を保存
      ・シャッターキーで実現するデジカメライクな撮影体験
    5. AQUOSならではの撮影体験を実現する機能
      ・セルフィーも手ぶれ補正対応の約5,030万画素
      ・その場の雰囲気を見たままの色合いで写すための14chスペクトルセンサー
      ・撮影体験を刺激するさまざまなカメラモード
  • 目の前の景色を広々と写し出すワイド撮影から
    被写体に思い切り近づけるマクロ撮影
    まで対応する広角カメラ

    画角122°で目の前の景色を広々と写し出すワイド撮影

    撮影データ:使用カメラ=広角/カメラモード=写真(オート)

    レンズ:F値 2.2/焦点距離 13mm(35mm換算)[画角:超広角122˚] センサーサイズ:1/2.5インチ 有効画素数(撮影サイズ):約5,030万画素(約1,285万画素) オートフォーカス:像面位相差オートフォーカス 手ブレ補正:なし ズーム有効倍率:0.6~0.9倍

    広角カメラは、目の前に広がる景色を広々と写し出す画角122°のワイド撮影から、被写体に約2.5cmまで思い切り近づけるマクロ撮影まで対応可能。さらに、像面位相差AFによる精度の高いピント合わせと、高速オートフォーカスで、スムーズな撮影が可能です。

    約2.5cm程度まで近づいて撮影できるマクロ機能

    撮影データ:使用カメラ=広角/カメラモード=写真(オート)/オートマクロ=ON

    また、「オートマクロ」機能を搭載し、標準カメラを使用中に被写体に近づくだけで、広角カメラによるマクロ撮影に自動切り替え。手間なく、細部まで鮮明な撮影が楽しめます。

  • 1インチを超える1/0.98インチ大型センサーと
    新設計のF1.8の明るいレンズで画質に
    磨きをかけた標準カメラ

    1/0.98インチの大型センサーによる圧倒的な集光量で、暗所でも明るく解像感のある撮影が可能

    撮影データ:使用カメラ=標準/カメラモード=マニュアル写真/ISO=1,600/SS=30sec./WB=オート

    レンズ:F値 1.8/焦点距離 23mm(35mm換算)[画角:広角86˚] センサーサイズ:1/0.98インチ 有効画素数(撮影サイズ):約5,030万画素(約1,285万画素) オートフォーカス:全画素像面位相差オートフォーカス 手ブレ補正:光学式手ブレ補正 ズーム有効倍率:1.0~2.9倍

    日常のあらゆる場面で使用頻度が高い標準カメラは、1/0.98インチの大型イメージセンサーと、約5,030万画素の高解像度を誇り、圧倒的な集光量を実現しています。大型センサーならではの広いダイナミックレンジにより、豊かな階調表現が可能です。

    さらに、AQUOS R6、AQUOS R7、AQUOS R8 proまで採用されていた1眼カメラシステムから、今回のモデルでは3眼カメラシステムへと進化。これにより、広角域は専用の広角カメラが担当するようになっています。

    これに伴い、標準カメラの焦点距離はスマートフォンで一般的な23mmに。さらに、新設計のF1.8レンズを採用し、画角の隅々まで精細かつ明るく描写することが可能です。

    また、大型センサーと明るいレンズに加え、光学式手ブレ補正により、暗い場所でも鮮明かつ低ノイズな撮影ができるようになり、これまで以上に高い撮影性能を発揮します。

    隅々まで鮮明に写す新設計レンズはディテールまで詳細に写します

    撮影データ:使用カメラ=標準/カメラモード=写真(オート)

    大型センサーと明るいレンズで近接撮影では、自然なボケ味の表現も

    撮影データ:使用カメラ=標準/カメラモード=写真(オート)/オートマクロ=OFF

    光学式手ブレ補正により、暗い場所
    でも鮮明かつ低ノイズな撮影が可能

    撮影データ:使用カメラ=標準/カメラモード=写真(オート)/オートナイト=ON
  • 歪みを抑え、見た目に近い
    形状で撮れるレンズ特性
    撮影領域を確実に広げてくれる望遠カメラ

    ポートレートでは、顔と体のバランスを正確に歪みのない写り

    撮影データ:使用カメラ=望遠/カメラモード=写真(オート)

    レンズ:F値 2.6/焦点距離 65mm(35mm換算)[画角:広角36˚] センサーサイズ:1/1.56インチ 有効画素数(撮影サイズ):約5,030万画素(約1,285万画素) オートフォーカス:全画素像面位相差オートフォーカス 手ブレ補正:光学式手ブレ補正 ズーム有効倍率:3.0~7.9倍(8.0~20倍は超解像ズーム)

    望遠カメラは、一般的なスマートフォンに搭載されるものと比べて大きな1/1.56インチセンサーを採用。日常的に使用頻度の高い画角をサポートしつつ、ズーム倍率を上げても高画質を維持するよう設計されています。

    また、望遠撮影で気になる手ブレについては、光学式手ブレ補正を搭載。これにより、ズーム時でもブレを気にせず安定した撮影が可能です。

    望遠カメラの焦点距離は65mm。これはデジタルカメラでいう中望遠域に該当し、広角レンズのように遠近を誇張することなく、見たままの形状を忠実に写します。さらに、画角が狭いことで余計な写り込みを減らし、構図を整理しやすくなるという利点があります。

    望遠カメラの特性を活かすことで、幅広い用途で活躍します。以下は、望遠カメラが活躍するシーンの一例です。

    ポートレート撮影

    顔の輪郭が歪むことなく、ピントが合った人物を鮮明に写し出し表情が際立ちます

    撮影データ:使用カメラ=望遠/カメラモード=ポートレート(ぼかし:4/美肌:4)

    製品写真やテーブルフォト

    広角カメラのように歪まず見た目に近い形状で撮影できます

    撮影データ:使用カメラ=望遠/カメラモード=写真(オート)

    スナップ写真

    画角が狭くなる分、構図を整えやすく。望遠ならではの背景のボケ味で被写体が強調されます

    撮影データ:使用カメラ=望遠/カメラモード=マニュアル写真/ISO=50/SS=1/30/WB=オート

    高倍率ズーム撮影

    ズーム倍率10倍以上の望遠域でも高画質。圧縮効果により被写体がより強調されます

    撮影データ:使用カメラ=望遠(ズーム倍率:10倍)/カメラモード=マニュアル写真/ISO=100/SS=1/25/WB=オート
  • AQUOS R9 proで撮影体験をさらに
    拡張する
    デジカメ用レンズフィルター
    対応アタッチメント

    AQUOS R9 proにデジカメ用レンズフィルター対応アタッチメントを装着した状態(画像は使用イメージ)

    対応アタッチメントを装着することで、デジタルカメラ用のレンズフィルターを使用した撮影が可能になります。これにより、スマートフォンカメラの可能性をさらに広げた新たな写真表現を楽しめます。

    ソフトフィルターを使用することでフィルムライクな写真表現も可能になります

    撮影データ:使用カメラ=望遠/カメラモード=マニュアル写真/ISO=100/SS=1/140/WB=マニュアル/EV=+1.17/使用フィルター=kenko NOSTALTONE BLUE

    フィルター無し

    kenko TWILIGHT REDを使用

    アタッチメントは、フィルター径62mmに対応。一般的なデジタルカメラ用のフィルターをそのまま取り付けられる設計です。これにより、スマートフォン単体では難しい物理的なフィルター効果を活かした撮影が可能です。

    AQUOS R9 proのフィルター対応アタッチメントについてはこちら(https://jp.sharp/k-tai/official_accessories/aquos-r9-pro/)をご覧ください。

    フィルターを使った撮影についてはこちら(https://3sh.jp/cp/photoshow/special/2023/202306-06-special.html)もあわせてご覧ください。

    フィルター撮影と相性抜群の
    「マニュアル写真」モード

    NDフィルターを使用し、マニュアルで撮影することでスローシャッター撮影も可能になります

    撮影データ:使用カメラ=標準/カメラモード=マニュアル写真/ISO=100/SS=1/140/WB=マニュアル/EV=+1.17/使用フィルター=marumi NOSTALTONE BLUE

    フィルター撮影を行う際にぜひ活用してほしいのが、「マニュアル写真」モードです。このモードでは、RAWデータでの撮影が可能で、より精密なカメラ制御による撮影が楽しめます。

    撮影基本設定:
    シャッタースピード/ISO感度/ホワイトバランス/マニュアルフォーカス/EV(露出補正)
    画作りや画質の調節項目:
    彩度/コントラスト/明瞭度

    RAWデータ撮影は、JPEGと
    RAWの2種類を保存
    JPEG:

    彩度やコントラスト、明瞭度、ズームを含めた設定がすべて反映された状態で保存されます。

    RAW:

    露出関連の設定(シャッタースピード、ISO感度)、フォーカス、ホワイトバランスが反映され、その他の要素は未加工の状態で保存されます。

    JPEGに比べてデータサイズが大きい分、広いダイナミックレンジと色域を保持しています。撮影後の現像処理により、高精度で高画質な仕上がりが可能です。

    撮影画面には、撮影を補助する水準器、白飛び黒潰れ警告表示、フォーカスピーキング(マニュアルフォーカス時)、ヒストグラムなどといった撮影補助表示機能も備わっています。これらの機能により、撮影の自由度と精度がさらに向上し、思い通りの写真を手軽に撮影できます。

    ※RAWデータ撮影とヒストグラムの表撮影画面示は、[カメラ設定] > [写真] 内で、設定をONにする必要があります。
    ※RAWデータがONの状態では、顔・瞳認識AFはOFFになります。
    ※RAWデータをメールやSNSで使用する場合は、Google フォト™︎アプリなどを使って現像後にJPEG等に保存する必要があります。

    シャッターキーで実現するデジカメライクな撮影体験

    デジタルカメラで使用されているシャッター同様のシャッターキーは、押し心地もカメラそのもの(画像は使用イメージ)

    AQUOS R9 proでは、専用のシャッターキーを搭載し、音量調節キーはズーム操作を行えるため、デジタルカメラ同様の直感的な操作が可能です。

    ①半押しでピント合わせ:
    シャッターキーを半押しするだけで、被写体に正確にピントを合わせることができます。

    ②押し切ってシャッターを切る:
    ピントを確定した後、押し切ることでシャッターが切れます。さらに、シャッターキーを半押ししている間は、被写体追尾を行います。カメラを動かしても、選択した被写体にピントを保ったまま構図を調整できるため、動きのある被写体や構図変更を伴うシーンでも安心して撮影を楽しめます。

    このようなデジカメライクな操作性は、フィルター撮影やマニュアル撮影との相性もよく幅広いシチュエーションで活躍します。

  • AQUOSならではの撮影体験を
    実現する機能

    ここまでは、広角、標準、望遠それぞれのカメラを中心にお話ししてきましたが、最後にAQUOS R9 proのカメラとしての魅力をまとめてご紹介します。

    セルフィーも手ぶれ補正対応の約5,030万画素

    ポートレートでは、顔と体のバランスを正確に歪みのない写り

    撮影データ:使用カメラ=イン(サブ)/カメラモード=ポートレート(ぼかし=5/美肌=3/小顔=3/色合い=4/明るさ=5/目=3/鼻=3)

    イン(サブ)カメラは、背面のメインカメラと同じ約5,030万画素。細部までクリアで鮮明なセルフィーが撮影可能です。また、インカメラにも光学式手ブレ補正を搭載しており、手ブレが気になる状況でも安定した撮影が可能です。背景のボケ味を調整できるポートレートモードや、美肌補正機能も充実しています。

    その場の雰囲気を見たままの色合いで写すための
    14chスペクトルセンサー

    スペクトルセンサー無し

    スペクトルセンサー有り

    異なる光の波長を高精度に解析することで、被写体の色をより自然に、そして忠実に再現します。微妙な色味や光の変化など光の影響を受けやすいシーンでもこのセンサーの働きにより、肉眼で見たままの鮮やかさで写真に収めることが可能です。

    撮影体験を刺激するさまざまなカメラモード

    スマートフォンならではのAI制御や被写体や撮影シーンに合わせた表現が可能なカメラモードが用意されています。

    写真撮影用のカメラモード
    写真
    ・AIによる被写体・シーン認識と調節
    ・AIによる被写体追尾フォーカス
    ・料理の影消し
    ※被写体を料理と認識した時のみ。カメラ設定でONにする必要あり
    ポートレート
    ・人物:背景のぼかし量と美肌効果を調節可能
    ・ペット背景のぼかし量と毛並みを調節可能
    ナイト
    ・人物:背景のぼかし量と美肌効果を調節可能
    ・ペット背景のぼかし量と毛並みを調節可能
    マニュアル写真 シャッタースピードやISO感度、ホワイトバランス等の項目を自ら設定して撮影可能
    その他 ハイレゾ 約5,030万画素の高解像度撮影が可能(カメラモード:「その他」内)
    動画撮影用のカメラモード
    ビデオ
    オートでのビデオ撮影(色調選択可能)
    PRO
    ビデオ
    Dolby Vision 見たままのリアルなディテールを再現する高クオリティな映像を撮影可能
    シネマティック フォーカスが合っている部分を強調し映画のような雰囲気のある映像を撮影可能
    ナイト
    ビデオ
    画質や明るさが気になる夜景でも、明るく低ノイズな映像を撮影可能
    マニュアル
    ビデオ
    自分の好みに合わせた設定での映像を撮影可能
    その他 タイム
    ラプス
    早送りのように再生される一味違った映像を撮影可能
    スロー
    ビデオ
    一瞬の動きをとらえるスローモーション映像を撮影可能

    AQUOS R9 pro専用のショルダーストラップケースの使用イメージ

    AQUOS R9 proのカメラに対する感想は、スマートフォンカメラならではのAIを駆使した最新機能と直感的な使いやすさ、そして被写体としっかり向き合い、一瞬を切り取るというカメラ本来の撮影体験を両立している点が魅力で、スマホカメラの新たな面白さも感じられます。

    また、専用のショルダーストラップケースを組み合わせることで、外観はまさに本格的なカメラそのもの。AQUOS R9 proは、撮影という行為自体の楽しさだけでなく、所有欲までも満たしてくれる一台です。

  • 黒田 智之 くろだ ともゆき
    東京生まれ。公益社団法人 日本写真協会会員。
    アートディレクター、フォトグラファーを主として音楽、映像、出版、広告などで活動。近年では、スマホ写真を中心に写真の撮影・プリントに関する書籍の執筆やセミナー、ワークショップ等の講師も務める。近著には『「いいね!」を増やす スマホ写真の撮影レシピ』(シーアンドアール研究所刊)などがある。

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